本を書いて感じたこと ― 『レスリングを探求する』発売を前に

本を書いて感じたこと ― 書籍『レスリングを探求する』著者の思い 技術・戦術

2026年9月23日(水・祝)、『レスリングを探求する ― 科学と現場が導き出す「答えのない競技」の解剖図鑑 ―』が発売になります。

原稿を書き終え、発売を前にした今、この本を書きながら考えてきたことを、自分の言葉で残しておきたいと思いました。この記事は、書籍の中身の紹介ではなく、書籍の執筆を通して感じたことをまとめたものです。

 

タイトルを変えた理由と、この先やってみたいこと

この本は、もともと『日本レスリングの強さを解剖する』という仮題で準備を進めていました。2025年5月のnote記事でも、このタイトルでお知らせしています。

「日本の強さ」を語るには、海外との比較が必要だった

「日本レスリングの強さ」を解剖するとなると、海外との比較は欠かせません。

ただ、現時点の私には、その比較をするための知識と経験がありません。そう判断して、「日本レスリングの強さ」ではなく、「レスリングを解剖する」という方向に切り替えました。それが今のタイトル『レスリングを探求する』につながっています。

反響があれば、海外との比較にも取り組みたい

今回の本に反響があれば、今後は海外との比較に取り組んでみたいと考えています。自分自身が海外に行く、あるいは海外での指導経験がある人にインタビューして、それをまとめる。そんなことをやってみたいです。

読みたい!興味がある!という方は、ぜひコメントやSNS等からメッセージをください。いろんな人の声が励みになります。

いちばん苦しかったのは「明確な答えが出せないこと」

書いていていちばん苦しかったのは、明確な答えが出せないことでした。

もし私が読者なら、いちばん知りたいのは「じゃあ、どうしたら強くなれるの?」ということだと思います。それに答えられたらいいのですが、書き進めるほど「やはり万人にあてはまる答えはない」と感じていました。

読者がいちばん知りたいことに答えたい。でも、万人にあてはまる答えはない。その矛盾を抱えながら執筆するのはなかなか苦しいというか、もどかしく感じていました。本をたくさん売ることだけを考えるなら、読者の目を引くような衝撃的な数字や話題を前面に押し出す書き方もあるのかもしれません。でも、研究者として、私はその書き方はしないと決めていました。少しわかりにくくてもいい、「全然答えが載ってないじゃないか」と思われてもいいから、私が考えるレスリングという競技を理解するために必要な情報をまとめたつもりです。

本の副題にある「答えのない競技」という言葉は、この苦しさとつながっています。

研究論文と一般書籍の書き方の違い

もうひとつ苦労したのが、研究論文と一般書籍の違いです。

研究論文では、あまり「断定」することはありません。ところが一般書籍では、断定を控えると、かえって読みにくくなってしまいます。

研究者として慎重に書くことと、読者にとって読みやすく書くこと。そのあたりのバランスには、最後まで苦労しました。

「頑張っているのに強くならない」と感じているレスラーへ

この本をいちばん届けたいのは、「練習を頑張っているのに、何で強くならないんだろう」と感じているレスラーです。

もしかしたら、頑張り方が違っているのかもしれません。あるいは、頑張っているつもりになっているのかもしれません。指導の現場でも、「考えろ」と言われてきた人は多いと思います。けれど、いきなり「考えろ」と言われても、何をどう考えればいいのかわからないのではないでしょうか。

読み終えた人に持ち帰ってほしいのは、「具体的に、より深く」考えることの大切さです。

この本を読むことで、新たな視点をきっと得られると思います。そして、自分の強みを見つける楽しさを、ぜひ実感してほしいです。

 

書籍執筆を通して改めて感じた「感謝」

書籍を書き終えた今、改めて感じたのは多くの人への感謝です。

この本は、私ひとりの力で書けたものではありません。

  • レスリングについての論文を書いてくれた先人たち
  • Wrestling Spiritsさんのように、記録を細かく残してくれる人たち
  • PINFALLさんのように、日々レスリングの情報を発信し続けてくれる人たち
  • 選手の言葉や気持ちを記録して残してきてくれた、記者やライターの皆さん
  • 本になる前の原稿を読んで、アドバイスや推薦文を寄せてくださった方々

論文、記録、日々の情報、選手の言葉、そして原稿へのご指摘。どれが欠けても、この本を書くことはできませんでした。このような人たちのおかげで本を書けたと、今は思っています。

書き終えた今、こうした方々に改めて尊敬の念を抱いています。

発売を前に

「どうしたら強くなれるのか」という問いに、明確な答えを示す本ではありません。それでも、「レスリングってこんな競技なんだ!」、「言語化できていなかった部分が言語化できた!」と感じてくれる人がいれば、それ以上の喜びはありません。

9月23日(水・祝)の発売まで、あと少しです。ぜひ手に取っていただき、様々な感想をお寄せください!

📕 書籍のご案内

『レスリングを探求する ― 科学と現場が導き出す「答えのない競技」の解剖図鑑 ―』

  • 著:伊藤奨(博士/スポーツ科学)
  • 発売日:2026年9月23日(水・祝)
  • 形式:Kindle版/紙版(B5判)

🛒 Amazonで予約・購入する → Amazon商品ページ(Kindle版・紙版)

📖 詳しくはこちら → 書籍紹介ページ

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著書『レスリングを探求する』9月23日(水・祝)発売
『レスリングを探求する』表紙

レスリングの見えにくい仕組みを、科学と現場の両面から一冊にまとめました。選手・指導者・保護者に向けた「答えのない競技」の解剖図鑑です(Kindle版1,250円/紙の本2,500円・Kindle Unlimited対応)。

Amazonで見る(9月23日発売)→

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