こんにちは。
Wrestling Lab を運営している伊藤奨です。
著書に『レスリングを探求する』(2026年9月23日発売)があります。
このブログでは、レスリングに関する知見を科学の視点から発信しています。
1. 検索では見つからない“本質”を探す旅へ
私たちの社会は今、驚くほどのスピードで情報化が進んでいます。
検索すれば、技術の名前もトレーニング方法も、有名選手の成績もすぐに出てきます。ある意味で、レスリングに関する“答え”のようなものは、すでにネット上に大量に存在しています。
しかし、
本当に大事な問いの答えは、検索しても出てきません。
たとえば──
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自分の強みはどこにあるのか?
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なぜこの動きは得意で、あの動きは苦手なのか?
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自分のライバルに勝つためには何が必要か?
これらの問いに対する“正解”は人によって異なり、誰かが与えてくれるものでもありません。
だからこそ大切なのは、自分なりの答えをつくっていく力です。
2. 正解を“探す”から、“つくる”時代へ
情報化が進むほど求められるのは、答えを知ることではなく、問いを深めて自分で考え抜く力です。
それは競技の世界でも同じです。
レスリングは、単に“技の正解”が存在する競技ではありません。もちろん、正しい技のかけ方はあります。押さえるべきポイントがひとつずれるだけで、その技は機能しません。
しかし実戦では、同じ状況は二度と来ません。相手との相性やその瞬間の判断が勝敗を左右するため、状況に応じて技を選ぶ力が求められます。
私自身、選手時代にこんな問いを抱いたことがありました。
「ただ力強く押すだけでは、組手はうまくいかない。力を“抜く”ことも大事ではないか?」
当時はうまく言葉にできず、検索しても説明してくれる情報は見つかりませんでした。「脱力が重要だ」と教えてくれる指導者もいましたが、それはその方の経験に基づくものです。自分に当てはまるのか、自分が指導する学生にも当てはまるのかは分かりませんでした。
それでもこの感覚は確かにあると考え、大学院でレスリングの組手における上肢の使い方を研究する道を選びました。
大学レスラーを対象に上肢の伸張反射を調べたところ、力を抜くべき場面では反射を抑え、押し返す場面では反射を強めるという切り替えが、一般学生よりはっきり現れていました。
感覚から出発した問いが、研究によって少しずつ形になっていく。それは「正解を自分でつくる」過程でした。
この経験はレスリングだけでなく、その後の人生でも財産になります。
3. レスリングという“答えのない競技”の魅力
著書『レスリングを探求する』では、競技構造と試合特性、求められる身体的条件、崩しの働き、強い選手は何を見て判断しているのか、神経は鍛えられるのかという5つの章から、この競技を一枚ずつ解剖しました。
答えを配るための本ではありません。「レスリングとはどういう競技か」という問いを読者が自分で考え直すための材料を、データと図表で並べています。
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自分のスタイルは何か?
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なぜこの構えが自分に合うのか?
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どうやって勝ち筋を見つけるか?
こうした“自己理解”が進めば、勝ち負け以上に、自分らしいレスリングが見えてくるはずです。
4. 答えのない旅を、続けるために
レスリングは、答えのない旅のような競技です。
地図はなく、歩き方も人それぞれ。だからこそ面白いのだと思います。
このブログと本が、その旅を続けるための材料になれば嬉しいです。まずは、自分の中にある問いをひとつ、言葉にしてみてください。
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レスリングの見えにくい仕組みを、科学と現場の両面から一冊にまとめました。選手・指導者・保護者に向けた「答えのない競技」の解剖図鑑です(Kindle版1,250円/紙の本2,500円・Kindle Unlimited対応)。
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