朝練の「がんばり」を、数字で見えるようにしたい。
レスリングの練習は、多くのチームで1日2回行われています。夕方のマットトレーニングと、朝の体力トレーニング。
マットトレーニングには、どの指導者もこだわりを持っています。技術練習のメニュー構成、スパーリングの組み合わせ、試合を想定した戦術的な課題設定。チームの「色」が出るのはここです。
一方で、朝練はどうでしょうか。
筋トレ、ラントレ。多くのチームが朝練にこの2つを組み込んでいますが、「とにかくきついことをやればいい」「追い込めば成果が出る」という空気がどこかにないでしょうか。
もちろん、追い込むこと自体が悪いわけではありません。ただ、選手の記録を数値で管理しているチームがどれだけあるかというと、正直なところ少ないのではないかと思います。
朝練は「過去の自分との対話」
マットトレーニングには、相手がいます。勝ち負けがあります。だからこそモチベーションが生まれやすく、自分の変化を相手との力関係の中で実感できます。
でも、筋トレやラントレには相手がいません。
スクワットの重量が5kg上がっても、試合の結果に直結するわけではありません。400mのタイムが2秒縮まっても、マットの上でその差が「勝ち」に変わるとは限らない。
だからこそ、フィジカルトレーニングは「過去の自分との対話」です。
そしてこれは、見方を変えれば大きな価値でもあります。
レスリングの試合は相対的な勝負です。自分が伸びていても、相手がそれ以上に伸びていれば負けることがある。努力が結果に直結しない。それがスポーツの厳しさであり、面白さでもあります。
しかしフィジカルは違います。やった分だけ数字に出ます。先月より5kg重いバーベルを持ち上げた。先週より1秒速く走れた。ロープを1本多く登れた。これは解釈の余地なく、事実としての変化です。
つまり、フィジカルトレーニングは構造として、選手が自分の変化を最も実感しやすい領域なんです。
数字が「見える」と、練習の質が変わる
選手が自分の変化を実感できるかどうかは、記録が「見える」かどうかにかかっています。
頭の中で「なんとなく前より重いのが挙がるようになった気がする」と感じるのと、「先月のスクワットが90kgで、今月は95kgになった」とグラフで確認できるのとでは、次の朝練に向かう姿勢に明らかな違いが生まれます。
指導者にとっても、数値管理にはメリットがあります。
選手一人ひとりの記録を追えば、「この選手は上半身の伸びが止まっている」「この選手はここ2週間でタイムが落ちている」といった変化に早い段階で気づけます。怪我の兆候を読み取ったり、トレーニングメニューの調整に活かしたりする材料にもなります。
数字は「評価」のためだけにあるのではありません。選手と指導者が同じデータを見ながら、一緒に次の一手を考えるためのコミュニケーションツールとしても機能します。
「先月から懸垂が3回増えたね」という一言は、選手にとっては小さな勲章です。自分の積み重ねが指導者に見えている、認められているという感覚が、次の朝練に向かう足取りを軽くしてくれます。
指導者は忙しい、という現実
ここまで読んで、「そんなことはわかっている」と感じた指導者の方も多いかもしれません。
その通りだと思います。数値管理の重要性は多くの指導者が理解しています。でも、実際にやれていないのは「時間がない」からです。
私自身、レスリングチームの監督を務めていた時期がありました。その経験から実感していますが、指導者は練習以外の業務に追われています。
大学であれば授業・研究・会議・学生対応。高校であれば教科指導・校務分掌・保護者対応。いわゆる「本業」の業務をこなしながら、朝練と夕方の練習を見て、週末は大会に帯同する。そんな生活の中で、選手一人ひとりの記録をExcelに打ち込んでグラフを作る余裕は、正直ほとんどありません。
やりたいけどできない。必要だとわかっているけど手が回らない。
この「やりたいけどできない」を解消するために、今回は2つのツールをセットで用意しました。計測するアプリと、記録を貯めるExcelテンプレートです。
計測は、スマホ1つで終わらせる — 計測アプリ「レスログ」
ラントレの計測現場を思い出してください。ストップウォッチを片手に、ゴールする選手の名前とタイムをメモ用紙に走り書き。接戦で2人3人が立て続けにゴールすると、もう手が追いつかない。練習後、その走り書きをExcelに打ち込む——。
この一連の作業を、スマホ1つで終わらせるアプリ「レスログ」を作りました。インストール不要・無料・登録不要。ブラウザで開くだけで使えます。
使い方は5ステップ
- 名簿を取り込む(最初に1回だけ):テンプレートの選手マスターから「選手ID・氏名」の2列をコピーして、アプリに貼り付けるだけ
- 種目を選んでスタート:400m / 800m / 1500m をワンタップ。全員一斉スタート
- ゴールの瞬間に、選手の名前をタップ:計測中は名簿の選手が名前ボタンとして並びます。ゴールした選手の名前をタップすれば、その瞬間のタイムが名前付きで記録されます
- 接戦は「ゴール!」連打でもOK:名前を押す余裕がないときは、大きな「ゴール!」ボタンを連打すればタイムと着順だけ確実に残ります。ストップ後に「1着の選手は?」と聞いてくるので、着順に名前をタップして埋めるだけ
- 「未転記分をコピー」→ テンプレートに貼り付け:日付・選手ID・タイム秒は貼った瞬間に自動計算。選手ごとの推移グラフも自動で更新されます
選手が喜ぶ、2つの仕掛け
自己ベスト通知。アプリは選手ごと・種目ごとの過去記録を覚えていて、更新した瞬間に「⚡自己ベスト −2.20秒」とバッジと音でお知らせします。フィジカルトレーニングの本質が「過去の自分との対話」なら、その対話の返事は速いほどいい。ゴールした数秒後に「自己ベスト」と表示される朝練は、確実に空気が変わります。
結果カード。計測が終わったら、順位・名前・タイム・自己ベスト入りの画像カードをその場で生成して、チームのLINEグループにそのまま共有できます。保護者にも選手にも、今日のがんばりがすぐ届きます。
※ 計測した記録は、お使いのスマホ内に自動保存されます(最大2,000件=20人チームでおよそ1シーズン分)。自己ベスト判定はこの履歴をもとに行われるため、いつも同じスマホで計測するのがおすすめです。スマホの買い替えやブラウザのデータ削除で履歴は消えるので、チームの正式な記録は次に紹介するExcelテンプレートに蓄積してください。
走力だけでなく、筋トレのMax記録にも対応しました。スクワット・デッドリフト・クリーン・ベンチプレス・懸垂・ロープ登りの記録も、Max測定の日にレスログで入力できます。こちらも「未転記分をコピー」→ テンプレートに貼り付けるだけ。走るタイムも筋力も、ひとつのアプリにまとまります。
使い方動画(1分12秒)
👉 レスログを使ってみる(無料・登録不要・スマホのブラウザで開くだけ)
記録を「資産」に変える — 朝練管理テンプレート
テンプレート側も、アプリとの連携に合わせて大きく更新しました(v1.13)。
- タイマー記録シート:アプリからコピーした記録を貼り付けるだけ。日付・選手ID・タイム秒を自動計算し、名前の入力ミスは「⚠」マークが教えてくれます
- 選手別タイム推移シート:選手を選ぶと 400m / 800m / 1500m の推移グラフが自動で切り替わります。グラフは作成済み、操作はプルダウン1つ
- 従来どおり、筋トレ6種目(スクワット・デッドリフト・クリーン・ベンチプレス・懸垂・ロープ)+ランニング4種目の記録・目標管理・選手別グラフも健在です
朝練後の作業は「コピーして、貼る」。これだけです。
選手が6人以上いるとき(追加のしかた)
テンプレートは初期状態で個別グラフシートが5人分(選手01〜05)ですが、選手の登録自体は最大40人まで対応しています。6人目以降は次の手順で追加してください。
- 「①選手マスター」シートの空いている行に選手を追加:選手IDは重複しなければ自由です(「2026-06」のような「入学年度-連番」がおすすめ。一度決めたIDの表記は途中で変えないのがコツです)
- 「③日次記録」はそのままでOK:追加した選手は入力欄のドロップダウンに自動で反映されます
- 個別グラフシートが足りないとき:「選手05」のシート見出しを右クリック →「移動またはコピー」→「コピーを作成する」にチェックして複製 → シート名を「選手06」などに変更 → シート右上の「ID:」欄に追加した選手のIDを入力すれば、その選手のグラフに切り替わります
- アプリの名簿も更新:「①選手マスター」の選手ID・氏名の2列をコピーして、アプリの「名簿」に貼り付け直せば完了です
テンプレートは公式LINEで「管理シート」と送るだけで受け取れます。
👉 公式LINEに登録してテンプレートを受け取る
数字で見えることの価値
レスリングは「答えのない競技」とよく言われます。
選手ごとにスタイルも体格も違い、指導にも一つの正解があるわけではない。手探りの連続です。
でも、フィジカルの数字だけは、明確な「事実」として残ります。
今月のスクワットが何kgだったか。先月からどれだけ動いたか。目標に対してどのくらいの位置にいるか。これらは解釈の余地なく、そのままの事実です。
選手にとって、この事実が「自分は前に進んでいる」という確信になります。
試合では負けることもある。努力が結果に届かないと感じる日もある。それでも、フィジカルの記録だけは嘘をつきません。昨日より1kg重いバーベルを持ち上げた。それだけで、今日の朝練には意味があったと言えます。
このアプリとテンプレートが、選手の積み重ねを「見える化」し、指導者と選手の対話を生み出すきっかけになれば嬉しいです。
入手方法(すべて無料)
① 計測アプリ「レスログ」:登録不要。スマホのブラウザで開くだけで、今すぐ使えます。
👉 https://wrestleinsight.com/wrestlog/
② 朝練管理テンプレート(Excel)+使い方ガイド:公式LINEからお届けします。
登録後、トーク画面で「管理シート」と送信してください。最新版テンプレート・使い方ガイド・使い方動画の3点を自動でお送りします。
登録は無料です。月数回のお知らせ(テンプレートの更新・新ツール・レスリング科学の記事)以外は配信しません。
ご利用にあたって
- チーム内・個人でのご利用は無償・自由です。項目の追加・カスタマイズもご自由にどうぞ
- 配布物に同梱の「クレジット・ライセンス」シートは残してご利用ください
- チーム独自の種目追加・ダッシュボード化など、専用ツールのご相談は info@wrestleinsight.com までお気軽に
Wrestle InSight|wrestleinsight.com
測る・記録する・共有する。朝練の数字を、チームの資産に。

コメント