こんにちは。
wrestling labの伊藤奨です。
今日は書籍執筆の途中経過、書籍を書きながら感じたことをお伝えできたらと思います。
書籍執筆の途中経過
もともと12月中に書籍の出版を予定していましたが、第二子の誕生、本業である論文執筆の修正作業等が重なったため、「2026年度中の出版を目指す」という形で延期させていただいておりました。
2月上旬で授業や本業業務が落ち着いたこともあり、ようやく本腰を入れて書籍の執筆に取り掛かれています。
現在のタイトルと内容
現在のタイトルと各章の構成は以下の通りです。
タイトル:『レスリングを探求する ― 科学と現場が導き出す「答えのない競技」の解剖図鑑 ―』
序章. レスリングを「解剖」するということ― パリ五輪が示した、日本レスリングの現在地
1. レスリングの競技構造と試合特性― なぜレスリングは“きつい”のか
2. レスリングに求められる〈身体的条件〉とは何か― 代謝と筋力から見た「強さの土台」
3. 「崩し」はなぜ有効なのか― ゲーム分析から見たタックル成功の条件
4. 強い選手は何を見て、どう判断しているのか
5. 神経は鍛えられるのか― 伸張反射が示すレスリング選手の適応
6. 解剖の先に広がる世界 ― 「答えのない競技」を思考し続けるために
各章の間には「歴史」「睡眠」「即時フィードバックの重要性」「レスリングが育てる運動有能感」「相対的年齢効果」についてのコラムも挟む予定です
現時点で43000字程度のボリュームとなっております。各章でレスリングに関連する論文や書籍を読みながら、できるだけ科学的に正しく、かつ選手や保護者の方も理解しやすいような表現になるようにこころがけて執筆しています。
出版予定時期とこれからの作業
現時点では6月か7月ころに出版できるように準備を進めています。全体の文章についてはおおよそ完成していますので、これからは文献リストの整理、現時点では文字だらけなので、より視覚的にわかりやすくするために図表の追加を行っていく予定です。
現時点でwordA4サイズ63ページ分ありますので、ここに図表等を追加していくと80ページくらいになるかなぁ?と想定しています。
書籍ですので、表紙のデザイン等も作成しなければなりません。やることはたくさんありますが、どうにか6月に間に合うように頑張ります!
書籍を書きながら思ったこと
再学習の重要性
一応レスリング選手を対象とした研究で博士論文を提出し、博士号(スポーツ科学)を授与された身ですので、それなりにレスリングに関する論文は読んでいたつもりでした。私の博士論文は「伸張反射」という事象をメインに扱っていたため専門分野としてはスポーツ科学の中の「スポーツ生理学、スポーツ神経科学」の分野となります。
しかし、この書籍では自分の専門分野外(トレーニング理論等)の内容も取り扱います。自分の隣の分野のことについてはたとえレスリングのことであっても、やはり知らないことが多々あり、「常に情報をアップデートしていかなければいけないな」と感じました。
この本は売れるのか?(笑)
研究者という職業柄、文章の表現には大変気を使います。
たとえば、
3週間のハイクリーンのトレーニングにより、ハイクリーンの最大挙上重量が向上したとします。
その結果を踏まえて、
過剰な表現: 「クリーン動作の改善により爆発的パワーが向上したため、これにより試合でのタックルの破壊力が増すことは間違いない。」
と表現するのではなく、
研究者的な表現:「パワーの向上は、下肢の爆発的筋出力の改善を反映している。これが実際の競技場面(例:コンタクト局面)のパフォーマンスにどのように転移するかについては、さらなる検証が必要であるが、一助となる可能性が示唆された。」
という言い回しをしたくなります。
一般的には「一部過剰」というか、「少し誇張されたような表現」のほうが読者に対して著者の言いたいことが伝わりやすかったり、そういった表現のほうがインパクトがありわかりやすいため、マーケティング的観点からすると前者の表現のほうがよいのかもしれません。
ただ、私としては一研究者のはしくれとして、あんまり前者のような誇張した表現は避けたいのです。その一方で、すべてが後者のような表現になると、読者からすると回りくどくて何言ってるのかわからないなぁとなってしまうのも嫌だなという葛藤に常に悩まされています。
このあたりは、今後もう少し体裁が整ってきたら数名のモニターを募集し、ご一読いただき忌憚なきご意見をいただけたらと考えております。皆様のお力をお借りしながらよりよい一冊に際上げられたらと思います!
もう一点、この本が売れるかな?と思った理由は
これまでに出版されたレスリング関連の書籍とはおそらく一線を画すからです。
これまでにレスリングに関して多数の書籍が出版されてきました。とくに、技術書に関しては素晴らしい書籍が多数出版されています。ほかにも、各指導者の方々の指導論や元トップ選手による現役時代の回顧録など、指導者、選手としての在り方を学ぶための良書も多数出版されています。
これらの書籍は、「明日からこの技術使ってみよう!」「明日から選手にこんな声掛けしてみよう!」といった即自的な学びが得られると思います。
一方私が現在書いている書籍では、「レスリングという競技構造を理解しよう」という、いかにも難しそうで、一見「これ読んで強くなるのか?」と思うような内容かと思います。序章の最後には、私がこの本に込めたメッセージを以下のように綴りました。
本書は、単に「勝ち方」を教えるハウツー本ではない。むしろ、読者が自分のレスリングを深く考え続けるための「羅針盤」でありたいと考えている。
競技者はもちろん、レスリング愛好家や保護者、そして指導者の方々にとっても、マットの上で起きている「現象」を新しい視点で眺めるきっかけになるはずだ。本書を通じて、日本レスリングが世界を席巻する理由を、精神論の先にある「理論」として感じ取っていただければ幸いである。
競技を経験したことのない人にも、また若手指導者や次世代の研究者にも、本書がひとつの道しるべになることを願っている。
大学院時代の恩師に以下のような言葉をもらいました。
論文の価値はあなたが決めるのではない。読者が判断する。
書籍においても同じことが言えるでしょう。
私としては、自分が持ち得る知識や考えをできる限りわかりやすくまとめ、それが一人でも多くのかたの目に留まればうれしい限りです。
引き続き、レスリングに関する情報発信を続けていきますので、コメントやスキ、各種SNSもフォローしていただけますと幸いです!
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