2025天皇杯フリースタイル優勝者を6指標で徹底分析|吉田アラシ選手ら全階級を数値化

はじめに

2025年天皇杯シリーズの最後はフリースタイル。全階級の優勝者の試合データを集め、世界選手権と同様に6つの指標に基づいて分析しました。単に「勝った・負けた」ではなく、データを通じて見えてくる“強さの質”を探ります。
世界選手権の記事は以下から読めます!比較しながら読むと新たな気づきがあるかもしれません!


1分あたりの得点──攻撃力の象徴

最初に取り上げるのは「1分あたりの得点」です。これは試合時間を基準に、どれだけ効率的に得点を重ねたかを示す指標です。1位に輝いたのは吉田アラシ選手(97kg級)で、1分あたり6.60点という驚異的な数字を記録しました。これは単に得点が多いだけではなく、短い時間で試合を決め切るだけの爆発力を持っていることを意味します。注意点として、吉田選手は組み合わせや相手の棄権の関係で今大会は2試合のみの試合となりました。とはいえ、この得点力は驚きです。

2位には同じく重量級の山本選手(125kg級)がランクインしました。重量級とは思えないスピードのタックルは圧巻でした。
3位の長谷川選手(61kg級)は接戦の多い軽量級でありながら、積極的な仕掛けで得点を奪い続けた結果、この順位を確保しました。タックルに加えて、グランドでの得点力が光りました。

1分あたりの失点──鉄壁の守備力

次に「1分あたりの失点」を見てみましょう。こちらはどれだけ相手に得点を許さなかったかを示す守備の指標です。吉田選手と山本選手は大会を通じて無失点。これは攻撃的でありながらリスク管理が徹底されていたことを示しています。高谷選手(86kg級)はわずか0.15失点に抑えており、極めて高い防御力を誇りました。
背景として考えられるのは、組手の段階で相手に主導権を渡さない組手や、タックルに入られたとしても無失点で抑える対応力の高さです。守備力の高さは、単に守るだけではなく、攻撃した後にカウンターや返し技を受けない対応力も反映しています。

1試合あたりの勝点(CPW)──勝ち方の内容

レスリングでは勝ち方によって「勝点」が与えられます。フォール勝ちは5点、テクニカルスぺリオリティは4点、判定勝ちは3点。これを1試合あたりで平均したのが「1分あたりの勝点(CPW)」です。
このランキングでトップに立ったのは長谷川選手でした。2位には吉田選手、3位にはグレコローマンスタイルでも優勝した成國選手(70kg級)がランクインしました。
彼らはただ勝つだけでなく「内容の良い勝ち方」をしていたということです。接戦や判定勝ちではなく、フォールや大差で勝てるかどうかが、この数値を押し上げます。

1試合あたりの相手勝点(CPL)──隙のなさ

「相手に与えた勝点」を平均化したのがこの指標です。失点と似ていますが、勝点制度特有のルールに基づいたものです。吉田選手や山本選手はこの指標でも0を記録し、相手に全くチャンスを与えませんでした。これは、ただ守備的に戦ったのではなく、試合の中でリスクを最小化し、攻守の切り替えを徹底できていたことを意味します。強豪相手にミス一つ許されない世界大会で、この数字をゼロに抑えるのは極めて難しいことです。アクティビティタイムや場外によるポイントも相手に与えていないということになります。

Wrestling Quality(WQ)──攻守バランス

「WQ(Wrestling Quality)」は「得点/分 − 失点/分」で算出する、攻守のバランスを表す指標です。
ここでも吉田選手アがトップとなりました。彼の強さの背景には、圧倒的な攻撃力と同時に、ほとんど隙を見せない守備力があります。千手観音と呼ばれるほどの組手の圧力は素晴らしいです。

得点と失点の両方を合わせて見たときに、突出している選手こそ「真に強い」と言えるでしょう。そう考えると吉田選手は突出していますね。圧巻です。
ここでも2位には山本選手、3位には長谷川選手もランクイン。両選手ともに、高い得点力と防御力が失点もありましたが、高い得点力が光った印象でした。

Most Successful Wrestler(MSV)──完成度の証明

最後に紹介するのは「MSV(Most Successful Wrestler)」です。これはWQに「試合の勝点差(CP差)」を加えた総合指標で、攻守のバランスと勝ち方の内容を合わせて評価するものです。ここでも吉田選手が1位となり、今大会の「最も完成度の高い王者」であったことが数値的にも裏付けられました。すべてのランキングにランクインしてますからね。
決勝戦を見ても期待の若手選手を相手に、まったく付け入るスキを与えず圧倒的なパフォーマンスを発揮していましたね。圧巻でした。

データが示す“強さ”の背景

今回は吉田選手の強さが圧巻でした。試合数が少なかったとはいえ、安定した素晴らしいパフォーマンスでした。グレコでは重量級の得点の動きの少なさが目立ちましたが、フリーでは逆でしたね。チャンピオンの強さが突出しており、ライバル選手との差が大きかったことも影響しているかもしれません。

おわりに

近年、世界的な強さが際立つ日本のレスリング。
74kg級では世界チャンピオン同士の対戦も実現し、非常にハイレベルな戦いが繰り広げられました。65kg級ではパリ五輪王者清岡選手が優勝しました。両選手は、今回のランキングにランクインしませんでしたが、その背景には階級全体のレベルの高さ、その中でチャンピオンたちが厳しい接戦の中で優勝したことがうかがえます。

今後もデータを記録していくことで、新たな着眼点が見えてくるかもしれません。
今後も楽しみにしておいてください!

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